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2013/03/09

ルートダブル -Before Crime * After Days- 感想


このゲームは多くの障害にぶつかってきた。発売直前に東日本大震災と福島第一原発事故が発生し、原子炉事故を題材とした今作は発売自粛または内容変更の可能性。Xbox360版発売から早1ヶ月半でWindows版発売の発表。多くの困難を綱渡りして今作は世に生まれたのだ。この誕生に賞賛と感謝を。

ジャンルはアドベンチャーだが、単純な選択肢による分岐ではなく、センシズ・シンパシィと呼ばれるシステムが搭載されている。物語の分岐点になると、分岐に関わるキャラクターへの共感値の入力が解放される。例えば、意見を対立させている場面では共感値を高く設定した方の意見に主人公が同意し、危機的状況において自分自身の値を低くすると自らを省みない無謀な行動を取る。最初の内は仕組みを完全に理解するのは難しいが、多様な状況に適応する非常に優れたシステムである。そしてこのシステムは今作の大きなテーマにも合致しており、作品にしっかりとした一貫性を与えている。

監督の中澤工氏は名作「Ever17」でも監督を務めた。そのため今作もネタバレ厳禁の作りとなっている。2人の主人公の視点から描かれる物語は、最終的には9人の主人公の視点へと拡がっていき、グランドフィナーレに収束する。その物語の行方はぜひ自らの目で体験して欲しい。

この作品の欠点を挙げるとしたら、壮大な物語、多様なギミック、膨大な伏線に伴うプレイ時間の長さである。グランドフィナーレを迎えるまでに30時間。最近では据え置き機では正直きつい。是非とも、是非とも、携帯機への移植を検討していただきたい。そして、アドベンチャーゲームの携帯機移植と言ったらPSVITAしかないでしょう。これだけの名作を埋もれたままにしておくのはMOTTAINAI。SCEの有能営業部の出番である。仕事しろ。

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