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2013/04/02

Steins;Gate 感想

STEINS;GATE

コンピュータゲームにおいてタイムトラベルやパラレルワールドという題材は新しいものでも希少なものでもない。反復と複製が得意なコンピューターにとっては格好の題材といえるだろう。そして複数のヒロインとの恋愛を目的にしたギャルゲーも、見方によってはパラレルワールド的な世界観であり、コンピュータゲームとの親和性が高い。ギャルゲーに多くのタイムトラベル、パラレルワールドものが集まってきたのは自然なことである。「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」、「Ever17」、「ひぐらしのなく頃に」、「CROSS CHANNEL」、「Fate/hollow ataraxia」、「スマガ」等々、このテーマの作品は良作が多い。

「Steins;Gate」はそれらの中でも特異な立場にある。それはタイムトラベルそのものを真摯に扱っているということだ。今作のタイムトラベルは荒唐無稽ではあるが「納得」できるのだ。物理学や脳生理学なんかで「らしく」見せることに成功している。そして秀逸なのは、世界線収束範囲(アトラクタフィールド)理論の創造である。この発明によってタイムトラベルが万能なものではなくなり、物語に重みを与えているのだ。

この作品を語る上で外せないもう一つのポイントは、ふんだんに盛り込まれるオタク文化、2ちゃんねる文化のテクストだ。2009年発売なので現在(2013年)では既に死語になりつつある言葉もちらほら見られる。そういった意味で、この作品は時代に左右される作品である。しかし、そういった弊害よりも、時代を鮮やかに切り取って描き切っている点こそが重要である。過剰な部分があることは確かだが、その時代の匂いを感じさせる作品は貴重である。10年後、恐らくこの作品はあまり話題にならなくなるだろう。しかし、30年後、リバイバルする可能性は高い。それは過去への郷愁であり、未知への好奇心でもあるだろう。

今回、PSVITA版で久しぶりにプレイして感じたことは、アドベンチャーゲームの名作はガンガンPSVITAに移植してくれということだ。一度プレイしたアドベンチャーゲームは据え置き機で何度もプレイしようという気がしないのだ。やはりPSVITAとアドベンチャーゲームの組み合わせは最高である。違法ダウンロードで痛手を受けているエロゲ業界もPSVITAに移行すればいいのに。

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